セカンドライフでは、様々な形でのボランティア活動が行われています。
個人はもちろん、グループやコミュニティー単位でボランティア活動を行っているところもたくさんあります。
ただ、“ユーザー(住人)”という立場のボランティアでは、初心者が困っていることをサポートしきれない部分もあります。
そこでセカンドライフでは、リンデンラボのボランティア向け公認プログラムが用意されています。
今回は、そちらをご紹介します^^
コミュニティー向け
個人向け
- LDPW (Linden Department of Public Works)
- Second Life Viewer Contributor
- Second Life Wiki helpers
ボランティア向け公認プログラムには、コミュニティー向けと個人向けが用意されています。
それぞれの内容について、一つずつご紹介していきます。
コミュニティー向け
Community Gateway
Community Gateway はセカンドライフの新規ユーザーが、セカンドライフの公式サイトからでは無く、コミュニティーが用意したサイトから始められるようにするプログラムです。
Linden Lab Official:Community Gateway - Second Life Wiki
- コミュニティーが用意したサイトから始めることが出来る
- コミュニティーが用意したチュートリアル SIM から始めることが出来る
- セカンドライフの世界に生まれてすぐ、そのコミュニティーのサポートを受けることが出来る
というのがこのプログラムの特徴です。
昔からセカンドライフをされている方の中には、
- MagSL
- メタバーズ
- モバイルファクトリー
- メルティングドッツ
- バーチャルウォーカー(角川クロスメディア)
といった企業のサイトからセカンドライフを始められた方もいらっしゃると思います。
こういったコミュニティーが用意した日本語のサイトやチュートリアル SIM、コミュニティーによるインワールドでの日本語サポートに助けられた方は少なくないと思います。
それが、この Community Gateway です。
いわゆる“セカンドライフブーム”を作り上げたプログラムと言ってもいいものだと思います。
たくさんの日本人が、このプログラムを通してセカンドライフを始めていました。
と、これだけ聞くとすばらしいことばかりのようなプログラムなのですが、どのコミュニティーでも単純に“申し込めば出来る!”というわけではありません。
新規ユーザーの登録からサポートまでをリンデンラボの代わりに担うということになりますので、参加するためには下記のような厳しい条件があります。
- コミュニティーの活動が 1 年以上行われていること
- チュートリアル用のフル SIM を用意出来ること
- RegAPI を使って新規ユーザーをサイトからセカンドライフ(チュートリアル用の SIM)に呼び込むことが出来ること
- リンデンラボに財務状況を報告すること
こういった厳しい条件が課せられる代わりに、リンデンラボの“公認”が貰えるという形です。
SIM が必要など条件がかなり厳しいですので、基本的には企業向けという感じのプログラムになっています。
現在、リンデンラボから公表されている Community Gateway を行っているコミュニティーは、下記の二ヶ所です。
- London City Community Gateway
- Firestorm Community Gateway
Open the Gate! The Community Gateway Program, That Is! - Featured News - SecondLife Community
天使になりたくて: Community Gateway Program が再導入されました
リンデンラボに確認をしましたところ、現在 Community Gateway に参加している日本のコミュニティーは無いそうです。
つまり、日本のコミュニティーで“公認”のところは無いということになります。
もちろん、「希望するところがあれば、日本のコミュニティーも大歓迎!」ということですので、もし上の条件をクリアー出来るコミュニティーをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ Community Gateway を申請してみてください。
コミュニティー向けには、この Community Gateway のみが公認プログラムとして用意されています。
Community Gateway に参加していないコミュニティーは、“リンデンラボ公認”ではありません。
リンデンラボ公認を謳っているコミュニティーがもしあった場合は、Community Gateway に参加しているところかどうかを確認するようにしてください。
個人向け
LDPW (Linden Department of Public Works)
LDPW は「Linden Department of Public Works」という名前の通り、メインランドの公共工事を主に行うプログラムです。
Linden Department of Public Works - Second Life Wiki
LDPW は、2008 年 2 月 8 日に開始されました。
The Linden Department of Public Works | Official Second Life Blog
- メインランドにある道路や鉄道などの土木工事
- Bay City や Nautilus などの都市の建設
- Linden Realms や PaleoQuest などのインワールドゲーム
- プレミアムギフトやセカンドライフのデフォルトアバター
などのリンデンラボの様々なプロジェクトの制作を担当しています。
クリエーターさん向けのプログラムです。
LDPW Projects - Second Life Wiki
LDPW は厳密にはボランティアでは無くて、時給制でリンデンラボに雇用されるという形になっています
これは、ユーザーが制作したものをリンデンラボが買い取るという形式をとっているからです。
LDPW として制作を行う場合は、ユーザーが普段使っているアカウントでは無くて、「Mole(もぐら)」姓のアカウントで行います。
リンデン製のオブジェクトで製作者が「Mole」姓になっているものは、そういったユーザーが作ったものです。
そういったものの製作に関わることが出来るのが、LDPW というプロジェクトです^^
もちろん、セカンドライフを代表するようなクオリティーのものが要求されますので、誰でも出来るわけではありません。
でも、自分が作ったものが、セカンドライフの全ての人に同じように楽しんでもらえるのはもちろん、セカンドライフが続く限りは(リンデンさんの気が変わらない限りはw)残り続けますので、これは個人ではなかなか出来ないことですので、やりがいがある部分じゃないかなと思います。
もしかしたら、日本人向けの公式アバターといったものも作れるかもしれませんしね。
もしそういった活動をやってみたい!と思われた方は、ぜひ挑戦してみてください!
Second Life Viewer Contributor
セカンドライフの公式ビュアーは、リンデンラボのスタッフが開発を行っています。
そのソースコードは、オープンソースプロジェクトという形で一般公開されています。
lindenlab - Bitbucket
公式ビュアーのソースコードは、利用規約の範囲内であれば、誰でも利用することが出来ます。
公式ビュアーをベースにして、自分好みのビュアーを作ることも出来ます。
Firestorm などのサードパーティー製ビュアーは、そういった形で作られているものがほとんどです。
セカンドライフを始めるユーザーのほとんどは、公式ビュアーを最初のビュアーとして使う人がほとんどです。
そこで、
公式ビュアーのこの部分を改良したら、もっといい感じになるのにな。
プログラムは作れるので、それが公式ビュアーに採用されたらいいのに…
そう思った方もいらっしゃるかもしれません。
そんな人に向けて用意されているのが、Second Life Viewer Contributor です。
Open Source Portal - Second Life Wiki
Second Life Viewer Contributor は、2007 年 1 月に開始されました。
Linden Lab to recognize Open Source Contributors | Official Second Life Blog
Second Life Viewer Contributor は、あなたが作った公式ビュアーを改良するプログラムを、“リンデンラボに寄贈する”という形で採用してもらえる(かもしれない)というプログラムです。
あなたの作ったプログラムで、公式ビュアーをもっと使いやすく出来るかもしれません。
さらに、公式ビュアーが良くなれば、それをベースにしているサードパーティー製ビュアーも同様に使い勝手が向上する可能性があります。
これも、セカンドライフを利用する全ての人に対して恩恵を与えることが出来るかもしれない活動です^^
腕に自信のある方は、ぜひ参加してみてください!
ただし、現在リンデンラボではサンサールに開発の主軸が移ってしまい、セカンドライフの開発スタッフが減ってしまった関係で、外部の人が作ったコードまでレビュー出来る余裕が無いそうです。
そのため、Second Life Viewer Contributor に参加したからといって、直接「このコードを取り込んでください!」という依頼は、基本的には受け付けていないそうです。
現在の Second Life Viewer Contributor としての開発の流れは、
- サードパーティー製のビュアーで実現したい機能を実装する
- そのビュアーでその機能の実績を積む
- リンデンさんが興味を持ってくれる内容であれば、Second Life Viewer Contributor を通してそのコードを寄贈する
という流れになっています。
Second Life Viewer Contributor にいきなり参加しても貢献が出来ないという複雑な事情になっていますけれど、可能性が無いわけではありませんので、それでもやってみたいと思われる方はぜひ挑戦してみてください^^
Second Life Wiki helpers
セカンドライフの様々な情報をまとめている、「Second Life Wiki」というサイトがあります。
Second Life Wiki
このサイト自体はリンデンラボが設置した公式なものなのですが、その内容はユーザーにも開放されて、自由に公式/非公式情報をまとめることが出来ていました。
ところが、Wiki への SPAM 攻撃が激しくなってしまったため、2016 年に Wiki の編集はリンデンさんしか出来ない状態になってしまいました。
Second Life wiki: editing locked for now - Inara Pey: Living in a Modem World
ただその状態のままでは、
- ユーザーが掲載していた情報の更新
- ユーザーがメインで行っていた翻訳活動
が出来なくなってしまいます。
そこで、リンデンさんが許可したユーザーのみ「helpers」という権限を与えて、 Second Life Wiki の編集が出来るようにするという方針がとられました。
helpers は他のプログラムとは違い、公認プログラムという形には今のところなっていませんので、募集ページのようなものはありません。
リンデンさんが認めた方のみ、特別な許可を与えるという形になっています。
helpers の権限を持つユーザーは、下記のページで公表されています。
User group rights - Second Life Wiki
わたしも helpers の権限を頂いて、LSL Portal の翻訳を行っています。
User list - Second Life Wiki
リンデンさんから権限を与えられたことは、Second Life Wiki の権限のログにも記録されています。
User rights log - Second Life Wiki
リンデンさんから直接 helpers の権限を頂いた方以外で helpers になりたい方は、サポートにその旨を伝えてください。
ただし、過去の経緯がありますので、誰でもなれるとは限らないようです。
翻訳の活動を行われている方や、Wiki に掲載すべき情報を持っているという方なら、そういった内容をお伝えすれば可能性はあると思います。
わたしもそうでしたので^^
現在、Wiki の日本語の翻訳をしているのはわたし一人だけみたいで@@、とてもじゃないですけれど全部は翻訳しきれません><
翻訳出来る方は、ぜひぜひ参加してください!
個人向けには、この 3 つの公認プログラムが用意されています。
いずれも、専門な分野に特化した内容のみです。
“初心者支援”のような、一般のボランティア活動向けの公認プログラムはありません。
以前は、セカンドライフ全体をサポートする「Second Life Mentor」という公認のボランティアプログラムがありましたが、こちらは 10 年ほど前に終了しています。
個人で、一般的なボランティア活動用の特別な権限を貰うということは出来ませんので、その辺は注意をしてください。
ちなみに、
というのもご紹介していますので、気になる方はぜひそちらも合わせてご覧ください^^
よくある質問とその答え
Q:上に書かれた公認プログラム以外で、公認や“特別な許可”を貰うことは出来ますか?
A:こちらでご紹介した公認プログラム以外では、公認や“特別な許可”を貰うことは出来ません。
Q:「リンデンさんに直接質問をして許可を貰いました」「サポート窓口に問い合わせをして許可を貰いました」これは特別な許可になりますか?
A:リンデンさんに直接またはサポート窓口に質問をして、「いいですよ」といった形で貰える“許可”は、誰にでも同じように答えられている一般的なもので、質問した人に対してリンデンさんが特別な許可を与えたわけではありません。
この辺を勘違いして、
リンデンさんから特別な権利が貰えた!
わたしにだけ許可をしてもらえた!
と言ってしまっている方が少なくないそうなのですが、そういう場での話は特別な権限を与えたものでは無いそうですので、その辺注意をしてくださいということです。
Q:リンデンラボから公認または特別な許可を貰った人かどうかを調べる方法はありますか?
A:リンデンラボが公認または特別な許可を出す場合は、その情報は下記の方法で公開されます。
- 公式ブログで、公認が与えられたことが掲載される
- リンデンさんが作成した、その権限を持つ人達のためのグループに参加している
- Second Life Wiki 内のプロジェクトのページに、リンデンさんによって情報が掲載される
Q:公認または特別な許可を貰った人の情報が公開されるのはなぜですか?
A:ボランティアを受ける人が、
この人、ほんとうに公認された人なの?
正式に許可貰ってる人なの?
と疑問を持った際に、それを明確に証明出来るようにするためです。
そういったことが明確になっていない場合、
「わたしはリンデンから特別な許可を貰いました!」
と虚偽の話をする人が出てきた場合、それが本当かどうか分からなくなってしまいます。
そういうことが無いように、本当に公認や特別な許可が出た場合は、その情報が誰でも確認出来るようになっています。
Q:特別な許可を貰っているのが確認出来ないのに、「わたしは特別な許可を貰っています」と言う人がいます。どうしたらいいですか?
A:リンデンラボの名前を騙っている可能性がありますので、その場合は「リンデンラボに通報を行ってください」だそうです。
Q:正式な許可を貰っていないのに、「公認や特別な許可を貰った」と言った場合はどうなりますか?
A:リンデンラボの許可無く公式だと誤認されるようなことを行なっている場合は、リンデンラボから法的に訴えられるそうです。
またリンデンラボだけでなく、利用者側にも嘘の情報で損害等を与えた場合は、詐欺といった犯罪になる可能性があります。
Q:「許可を貰っている」と言ってる人の話が、実は虚偽でした。わたしはその人にその話を前提に金銭を渡していたりしていました。この場合どうしたらいですか?
A:その場合は詐欺に当たる可能性がありますので、リンデンラボの他に、警察にも通報してください。
Q:「リンデンラボと秘密の契約をしました」「リンデンラボから秘密に許可を貰いました」という人がいるのですが、こういうことはありますか?
A:リンデンラボでは、ボランティアの住人に対して秘密の契約や許可などは一切行っていないそうです。
そういう話をしている人がいる場合も、すぐにリンデンラボに通報を行ってください。
Q:企業って秘密の契約がありますよね?“秘密の契約”って、そういう話じゃないの?
A:企業ではもちろんビジネス上、秘密の契約というのはあります。ただし、その際は必ず「秘密保持契約(NDA)」という契約が一緒に結ばれます。
秘密保持契約は、その契約に関連した内容で見聞きしたことは一切外部に漏らしてはいけないという契約です。
さらに、お友達はもちろん、自分の家族であっても、「わたしはこんな契約したんですよ!」ということさえ言ってはいけないという厳しい内容です。
これは、リンデンラボとの秘密保持契約でも同様です。
つまり、「わたしは秘密の契約をしました!」と言ってる人がいる場合、その人はその時点で、秘密保持契約を破ったということになってしまいます。
その場合、守秘義務違反に問われることになってしまいます。
もしそういう話をしている方がいらっしゃる場合は、こちらもリンデンラボに通報するようにしてください。
Q:リンデンに通報してくださいと言っても、ちゃんと対応してくれないんじゃないですか?
A:企業の名前を騙るということは、その企業にとって一番許せない行為になります。それはリンデンラボも同じだそうで、そういった行為に対しては厳しく対応をされているそうです。具体的には、法的措置をとられているそうです。
Q:うちは昔からセカンドライフをやっているし、有名だし、その辺大目に見てくれるでしょ?
A:企業の名前を騙るという行為の場合、その辺は全く関係無いそうです。
実際、2017 年末、Strawberry Singh さんがリンデンラボの商標(ロゴや公式サイトなど)を YouTube の動画で無断使用したとして、リンデンラボから訴えられてしまうというセカンドライフ的には大きな事件がありました。
Trademark Complaint Received from Linden Lab - StrawberrySingh.com
An Apology to Strawberry Singh & A Call to YouTubers: “Un-Cease & Desist” - Featured News - SecondLife Community
最終的には、リンデンラボの法務が前のめりになりすぎて、フェアユースの部分まで踏み込んで訴えてしまったということで収まったようなのですが、「公式」や「公認」といった部分に関してリンデンラボが特に神経質になっているという有名な事例のひとつになっています。
リンデンラボは、“ラボ”(研究所)という名前が付いてますけど、アメリカの一民間企業ですので、日本の企業のような感覚で接してしまうと、非常に危険です。
この辺は、一歩間違うと誰でも本当に訴えられる危険性がありますので、その辺を十分認識した上で対応されるようにした方がいいと思います。
Q:「わたしは昔特別な許可を貰いました。今はルールが変わっただけです」という人がいるのですが、こういうことはありますか?
A:その公認プログラムが現在も継続しているものであれば、そこに参加しているかどうかを確認してください。
その公認プログラムが過去に終了したものである場合は、終了した時点でその人へ与えられた権限は効力を失いますので、昔許可を貰っていても今それを行うことは出来ません。
もし、現在許可を貰っている人では無いまたは、現在は終了したプログラムの話である場合は虚偽ということになりますので、リンデンラボに通報を行ってください。
以上です。
いずれのプログラムもかなりのスキルなどが要求されますので簡単なことでは無いですけれど、一般の住人のままでは体験出来ないようなことが経験出来たりすることもありますので、やってみたい!と思われた方はぜひ挑戦してみてください^^