お知らせ

2020年5月から、セカンドライフの情報は仮想生活ガイドというサイトにまとめていくように変更しました。
天使になりたくてのこれまでの情報は今後も過去ログとして残しておきますけれど、新しい情報は仮想生活ガイドをご覧ください^^

2015年10月11日日曜日

セカンドライフビュアー内蔵の HTML レンダリングエンジンを、WebKit から CEF に変更する「Valhalla」プロジェクト

セカンドライフビュアーの「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」では、HTML のレンダリングエンジンに「WebKit」が使用されています。

WebKit は、Web ブラウザの中で HTML のページを表示してくれる機能のことです。

The WebKit Open Source Project

WebKit は Apple が開発をした HTML のレンダリングエンジンで、Mac や iOS の標準ブラウザである「Safari」で使用されています。

WebKit を使うと、他のアプリケーションでも Safari と同等の Web の表示機能を搭載することが出来ます。

セカンドライフビュアーでは、Qt の QtWebKit を介して WebKit の機能を利用しています。

Qt - Home

LLQtWebKit - Second Life Wiki

「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」に Web のサイトが表示されるのは、WebKit のおかげです。

また、「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」での表示はビュアーに内蔵されている WebKit で行われていますので、パソコンにインストールされている他の Web ブラウザの影響は受けません。
どんな環境でも、セカンドライフビュアーのみで Web のサイトが表示出来るような仕組みになっています。


現在のセカンドライフビュアー バージョン 3.x では、Qt4 の QtWebKit が使用されています。
このため、HTML5 には対応していません。
また、Mac では Flash Player の描画に問題があります。

セカンドライフで動画を見る方法

Mac 版セカンドライフビュアーで Flash のコンテンツが見れない原因

これらの問題は Qt5 にアップグレードすることで解決出来るようなのですが…、


リンデンラボは、セカンドライフビュアー内蔵の HTML レンダリングエンジンを、Chromium Embedded Framework (CEF) に変更することにしました。

chromiumembedded / cef - Bitbucket

CEF は、Google が Chrome 用に開発した HTML レンダリングエンジンです。
CEF も、他のアプリケーションに組み込んで利用することが出来ます。

そして、セカンドライフビュアーにこの CEF を組み込んだプロジェクトビュアー「Second Life Project Valhalla Viewer」が、先日公開されました。

Linden Lab Official:Alternate Viewers - Second Life Wiki


Valhalla Viewer では、「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」の表示の部分が CEF に変わっています。

CEF になって変わった点は、下記の通りです。
  • HTML のレンダリングエンジンが Chrome で使用されているものになった(見た目も挙動も Chrome と同じになった)
  • HTML5 対応
  • CSS3 対応
  • WebGL 対応
HTML5/CSS3 対応になりましたので、バージョン 3.x のビュアーで正常に表示されない HTML 5 向けのサイトも、正しく表示されるようになっています。
もちろん、従来のサイトも問題ありません。

ヘルプからブログのページを表示してみたところ。
ここも CEF で表示されています。
CEF は最新の Chrome と同じレンダリングエンジンですので、描画の性能も改善されています。


Mac で YouTube などの動画が再生されない不具合も、HTML5 対応のおかげで改善されています。

Mac で YouTube の動画を表示してみたところ。
動画の部分は HTML5 で表示されています。
再生や停止などの操作も問題無く出来ています^^
Mac でインワールドにて動画を楽しみたい方は、ぜひ試してみてください。


また、Web ブラウザの中で 3D を表示する標準技術「WebGL」にも対応していますので、インワールドで Web の 3D コンテンツを楽しむといったことまで出来るようになりました。

WebGL - OpenGL ES 2.0 for the Web

こんなリアルな 3D モデルのコンテンツも、セカンドライフビュアーの CEF 上で動きます。
HelloRacer WebGL

WebGL Water

インワールドでも WebGL コンテンツを表示/操作出来ます。
3D モデルの投稿サイト「Sketchfab」の 3D モデルも確認出来ます
Sketchfab - The place to be for 3D

セカンドライフの 3D の世界と Web の 3D のコンテンツが同時に動く世界が手に入るようになりますので、今まで以上に表現の幅が広がるかもしれません^^

もちろん、WebGL のコンテンツだけを動かす場合と比べると、セカンドライフビュアーが動いている分重いですので、あくまでも“同時に見れる”という範囲になるかもしれませんけれど…


現在のところは QuickTime や Flash のコンテンツも CEF 上で動作していますが、正式リリースまでにはプラグインの機能はサポートされなくなります
インワールドからの閲覧を前提としたコンテンツで、QuickTime や Flash に依存しているコンテンツを作られている方は、HTML5 への移行を行われる必要があります。


Valhalla Viewer はまだ開発途中の技術披露の段階のものですので、致命的な不具合が残っていることがあります。

わたしの方で確認した不具合は、下記の通りです。
  • 検索が出来ない
  • 行き先ガイドの表示が壊れている
  • プロフィールなどの表示がログインした状態になっていない
  • CEF の部分に日本語入力が出来ない(コピー&ペーストは可能)
この辺は順次改善されていくと思いますが、この辺が使えないとダメ!という方は、もうしばらく待たれた方がいいと思います。


Valhalla Viewer のバージョンは、4.0.0 になっています。
セカンドライフビュアーのバージョン 3 はもうすぐ終わりで、いよいよバージョン 4 の時代に入るみたいです^^


ちなみに、セカンドライフビュアーの HTML レンダリングエンジンの変遷は下記の通りです。

ビュアーのバージョンHTML レンダリングエンジンレンダリングエンジンを使用している Web ブラウザ(参考)
1.xGeckoFirefox
2.xWebKitSafari
3.xWebKitSafari
4.xChromium Embedded Framework (CEF)Chrome

ユーザーが意識して使えるようになったのは「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」がサポートされたバージョン 2 からですが、実はバージョン 1 の頃も、ヘルプメニューで表示される Web ページの描画に「Gecko」というレンダリングエンジンが使用されていました。

Gecko は、Firefox で利用されているレンダリングエンジンです。

Gecko - Mozilla | MDN

セカンドライフビュアーの HTML レンダリングエンジンが変わるのは、今回で二回目になります。
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