WebKit は、Web ブラウザの中で HTML のページを表示してくれる機能のことです。
The WebKit Open Source Project
WebKit は Apple が開発をした HTML のレンダリングエンジンで、Mac や iOS の標準ブラウザである「Safari」で使用されています。
WebKit を使うと、他のアプリケーションでも Safari と同等の Web の表示機能を搭載することが出来ます。
セカンドライフビュアーでは、Qt の QtWebKit を介して WebKit の機能を利用しています。
Qt - Home
LLQtWebKit - Second Life Wiki
「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」に Web のサイトが表示されるのは、WebKit のおかげです。
また、「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」での表示はビュアーに内蔵されている WebKit で行われていますので、パソコンにインストールされている他の Web ブラウザの影響は受けません。
どんな環境でも、セカンドライフビュアーのみで Web のサイトが表示出来るような仕組みになっています。
現在のセカンドライフビュアー バージョン 3.x では、Qt4 の QtWebKit が使用されています。
このため、HTML5 には対応していません。
また、Mac では Flash Player の描画に問題があります。
セカンドライフで動画を見る方法
Mac 版セカンドライフビュアーで Flash のコンテンツが見れない原因
これらの問題は Qt5 にアップグレードすることで解決出来るようなのですが…、
リンデンラボは、セカンドライフビュアー内蔵の HTML レンダリングエンジンを、Chromium Embedded Framework (CEF) に変更することにしました。
chromiumembedded / cef - Bitbucket
CEF は、Google が Chrome 用に開発した HTML レンダリングエンジンです。
CEF も、他のアプリケーションに組み込んで利用することが出来ます。
そして、セカンドライフビュアーにこの CEF を組み込んだプロジェクトビュアー「Second Life Project Valhalla Viewer」が、先日公開されました。
Linden Lab Official:Alternate Viewers - Second Life Wiki
Valhalla Viewer では、「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」の表示の部分が CEF に変わっています。
CEF になって変わった点は、下記の通りです。
- HTML のレンダリングエンジンが Chrome で使用されているものになった(見た目も挙動も Chrome と同じになった)
- HTML5 対応
- CSS3 対応
- WebGL 対応
もちろん、従来のサイトも問題ありません。
ヘルプからブログのページを表示してみたところ。 ここも CEF で表示されています。 |
Mac で YouTube などの動画が再生されない不具合も、HTML5 対応のおかげで改善されています。
Mac で YouTube の動画を表示してみたところ。 動画の部分は HTML5 で表示されています。 再生や停止などの操作も問題無く出来ています^^ |
また、Web ブラウザの中で 3D を表示する標準技術「WebGL」にも対応していますので、インワールドで Web の 3D コンテンツを楽しむといったことまで出来るようになりました。
WebGL - OpenGL ES 2.0 for the Web
こんなリアルな 3D モデルのコンテンツも、セカンドライフビュアーの CEF 上で動きます。 |
HelloRacer WebGL
WebGL Water
インワールドでも WebGL コンテンツを表示/操作出来ます。 |
3D モデルの投稿サイト「Sketchfab」の 3D モデルも確認出来ます |
Sketchfab - The place to be for 3D
セカンドライフの 3D の世界と Web の 3D のコンテンツが同時に動く世界が手に入るようになりますので、今まで以上に表現の幅が広がるかもしれません^^
もちろん、WebGL のコンテンツだけを動かす場合と比べると、セカンドライフビュアーが動いている分重いですので、あくまでも“同時に見れる”という範囲になるかもしれませんけれど…
現在のところは QuickTime や Flash のコンテンツも CEF 上で動作していますが、正式リリースまでにはプラグインの機能はサポートされなくなります。
インワールドからの閲覧を前提としたコンテンツで、QuickTime や Flash に依存しているコンテンツを作られている方は、HTML5 への移行を行われる必要があります。
Valhalla Viewer はまだ開発途中の技術披露の段階のものですので、致命的な不具合が残っていることがあります。
わたしの方で確認した不具合は、下記の通りです。
- 検索が出来ない
- 行き先ガイドの表示が壊れている
- プロフィールなどの表示がログインした状態になっていない
- CEF の部分に日本語入力が出来ない(コピー&ペーストは可能)
Valhalla Viewer のバージョンは、4.0.0 になっています。
セカンドライフビュアーのバージョン 3 はもうすぐ終わりで、いよいよバージョン 4 の時代に入るみたいです^^
ちなみに、セカンドライフビュアーの HTML レンダリングエンジンの変遷は下記の通りです。
ビュアーのバージョン | HTML レンダリングエンジン | レンダリングエンジンを使用している Web ブラウザ(参考) |
---|---|---|
1.x | Gecko | Firefox |
2.x | WebKit | Safari |
3.x | WebKit | Safari |
4.x | Chromium Embedded Framework (CEF) | Chrome |
ユーザーが意識して使えるようになったのは「内蔵 Web ブラウザ」や「HTML on Prim(共有メディア)」がサポートされたバージョン 2 からですが、実はバージョン 1 の頃も、ヘルプメニューで表示される Web ページの描画に「Gecko」というレンダリングエンジンが使用されていました。
Gecko は、Firefox で利用されているレンダリングエンジンです。
Gecko - Mozilla | MDN
セカンドライフビュアーの HTML レンダリングエンジンが変わるのは、今回で二回目になります。
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